ソーシャル・ネットワーク

映画『ソーシャル・ネットワーク』を映画館で観た。この映画は最高に面白い。

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小説の方を昨年読んでいたので、あらすじはだいたい同じで内容は分かっていたけど、映画が終わって3時間くらいは興奮が収まらずに大変だった。
何が面白いのか。一人のプログラマが、人間の行動を規定するようなシステムを作り、そこに多数の人間が集まってきて実際に6年で6億人ものユーザーを集めてしまう。そんなことは、これまでの人類の歴史上、インターネットが生まれるまで一度たりとも起こっていないことだ。それが現在進行形で起こっている。その事実に興奮する。
たとえばフォードが自動車を量産化し、世界中の人に自動車を届けよう、と頑張った。それでも、6年で6億人に届けることはできない。それでも、産業革命以前の非効率な産業に比べれば、遙かに効率的に世界を市場にして製品を届けることができた。
しかし、インターネットサービスの広がり具合はそんな比ではない。機械産業が世界の「筋肉」なら、情報産業は世界の「脳と神経」である。情報は瞬時に伝わる。情報は物理的な製品ではないので、生産コストが要らない。世界中の人に、瞬時に、コストをかけずにサービスを提供することができる。
そうして築かれたサービスは、多くの人間が概念的に時間を過ごす空間であり、人生を過ごす場所である。そんな場所が、パソコンをたたく手のひらからするっと出てくる、そういう時代に自分たちはいるし、そういう可能性を自分たちも秘めているのだと言うことに興奮せざるを得ない。
同時代的に観れば、「いつも使っているfacebookってああやって生まれたのね」という誕生秘話的な見方をしている人が多いのだろうが、人類の歴史に残る革命の現場の記録として、この映画は後生に残っていくだろう。
余談になるけど、それならGoogle誕生秘話でも、Microsoft誕生秘話でも良かったのではないか、という事になるわけだが、それは無理である。Microsoft, Googleは相手がパソコンであり、情報である。そんな映画を作っても、せいぜいセンスの良いハッカーがいました、という内容にしかならない。facebookの対象は「人間」である。だからそこに人間のドラマを描くことができ、多くの人の興味を惹いているのだと思う。